軟骨異栄養症とは


はじめに


軟骨無形成症は、四肢短縮型の低身長を呈する代表的な生まれつきの骨系統疾患です。四肢の体に近い方(上腕や大腿部)が特に短いので、近位四肢短 縮型低身長と呼ばれます。今までは、主として胎児性軟骨異栄養症(chondrodystrophia fetalis)と呼ばれてきました。発生頻度はいろいろな報告によって異なりますが、約2万分娩に1人の割合で発生すると考えられ、10万人中3~4人 と比較的頻度が高く生まれます。発生頻度に性差はなく、患者数は日本で4,000名以上と推定されています。
 本症の遺伝様式は常染色体優性遺伝ですが、約80%以上は健常な両親から生まれた突然変異であり、後述するように、線維芽細胞増殖因子受容体 (fibroblast growth factor receptor;FGFR)3の膜貫通領域の点突然変異が原因であることが明らかになりました。また、この病気の軽症型を軟骨低形成症といいますが、突 然変異の場所は軟骨無形成症と異なり、FGFR3のTK(タイロシンカイネース)1の部分の突然変異です。一般的には、軟骨低形成症も軟骨無形成症に含ま れます。また両者を総称して軟骨異栄養症ともいいます。
 本症は低身長に対する治療をしなかった場合に、最終身長が男児では平均130cm、女児では平均120cm程度にとどまります。このため、自動販売機や 公衆電話に手が届かない、また本症に特徴的な四肢近位部の短縮のために車の運転ができない、排泄に困難を伴うなど、社会生活にも種々の制約を受け、深刻な 心理的・社会的問題を抱えています。

清野 佳紀 /独立行政法人地域医療機能推進機構(JCHO)大阪病院(旧大阪厚生年金病院)名誉院長/岡山大学 名誉教授
(清野 佳紀監修 : 改訂版骨の病気と付き合うには,メディカルレビュー社 : 32-33,2010) 

 


次のページへ
>>



JP/NT/0317/0052