骨形成不全の治療


薬物治療

はじめに


骨は鉄筋コンクリートにたとえることができます。つまり、骨はコンクリートに相当する石灰成分と鉄骨に相当するコラーゲンと呼ばれる蛋白質でできていま す。骨形成不全症はこのコラーゲン遺伝子の異常によって起き、コラーゲンの質が悪い場合と量が少ない場合の2種類が混ざり合ったような状態なのです。この ため、骨形成不全症は軽症から重症まで幅広く、胎内骨折による致死性のものから、ほとんど骨折を認めないものまでさまざまです*。 特に生まれたときから何度も骨折を繰り返す場合には、骨が変形したり、運動発達が遅れて寝たきりになることもあります。遺伝子の異常ですから、この病気を 根本から治療することは遺伝子治療以外には、内科的には不可能です。せいぜい外科的にBailey’s rod等の髄内釘を挿入して、骨の強さを補強するぐらいなら可能でした。骨折を内科的に予防できないかということでカルシトニンやビタミンDも使われまし たが、本当に有効かどうかははっきりしませんでした。
 ところが、強力な作用のビスフォスフォネート製剤が臨床の現場に登場して以来、散発的にビスフォスフォネート製剤の骨形成不全症への骨折予防効果を示す 成績が報告されるようになりました。当初は、少数例による検討で投与量もまちまちでしたが、カナダのマックギール大学のGlorieuxらにより、まと まった数の本症の小児に対してビスフォスフォネート製剤の一種であるパミドロン酸二ナトリウムを点滴で投与して、骨の量が増加し、骨折回数が減少したとい うことが発表されました**,***
 この章では、骨形成不全症に対するビスフォスフォネート製剤を用いた治療の実際と、遺伝子治療の可能性について説明します。


* Sillence DO, Senn A, Danks DM: Genetic heterogeneity in osteogenesis imperfecta. J Med Genet 16: 101-116, 1979

** Glorieux FH, Bishop NJ, Plotkin H, et al.: Cyclic administration of pamidronate in children with severe osteogenesis imperfecta. N Engl J Med 339: 947-952, 1998

*** Plotkin H, Rauch F, Bishop NJ, et al.: Pamidronate treatment of severe osteogenesis imperfecta in children under 3 years of age. J Clin Endocrinol Metab 85: 1846-1850, 2000

田中 弘之 / 岡山済生会総合病院小児科 診察部長
(清野 佳紀監修 : 改訂版骨の病気と付き合うには,メディカルレビュー社 : 191-192,2010) 

次のページへ >>


JP/NT/0317/0052