軟骨異栄養症の治療


① 低身長に対する成長ホルモン治療

成長ホルモン治療はなぜ有効か


われわれはもっと有効な治療法を開発するために、実験的に軟骨異栄養症の軟骨細胞を作製したり、軟骨異栄養症と同じ症状を持ったモデル動物を使って 検討を行っています。その結果は次のようにまとめられます。すなわち、①軟骨異栄養症では早くに軟骨細胞が死んでしまうこと、②成長ホルモン製剤の投与の 結果、増加するインスリン様成長因子-I(IGF-I)はこの細胞死を防ぐ働きがあること、③副甲状腺ホルモンも同じように細胞死を防ぐ働きがあることで す。特に③の結果は大変有望で、実際にわれわれはモデル動物に副甲状腺ホルモンを投与することによって骨の長さが正常近くまで伸びることを確認していま す。副甲状腺ホルモンはアメリカでは骨粗鬆症の治療薬としてすでに実際の患者に使用されていますし、わが国でも2010年の7月に承認されました。ところ が、ラットを使った研究で骨肉腫という骨の悪性腫瘍が発生したことから、骨粗鬆症治療においても1年半以上は使えませんし、子どもや若年成人には使用しな いようにという警告が付けられていますので、副甲状腺ホルモンを軟骨異栄養症の治療薬として直接使用することはほぼ絶望的と考えられます。しかし、もし副 甲状腺に直接作用して副甲状腺ホルモンの分泌を刺激するような薬剤があれば、副甲状腺ホルモンよりも安全で有効な治療薬となるのではないかと考えていま す。また、京都大学の内科からはCNP(C型ナトリウム利尿ペプチド)を用いて軟骨異栄養症のモデルマウスの治療が可能であったとの報告がなされていま す。
 しかし、CNPは血液中では短時間で消えてしまいそのままでは治療薬としては使えないようです。これらについての研究が進めば成長ホルモン治療よりももっと有効な治療法ができるかもしれません。
 

田中 弘之 / 岡山済生会総合病院小児科 診察部長
(清野 佳紀監修 : 改訂版骨の病気と付き合うには,メディカルレビュー社 : 59-60,2010)

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