軟骨異栄養症の治療


④外科的治療:上肢・下肢

骨延長手術の実際


 次に、骨延長手術の実際について述べます。低身長に対する治療としての大腿骨延長、下腿骨延長が行われますが、骨を長くする、すなわち身長を高くすると同 時にO脚や足関節の変形を矯正することが多いです。脚が長くなり身長が高くなると、相対的に上肢の短いことが問題になってくる場合もあります。上腕骨を延 長することでお尻まで手が届かなかったのが届くようになったり、まっすぐ伸びなかったひじが伸ばせるようになります。
 手術はほとんどの場合、全身麻酔で行います。麻酔科の先生にお願いして、術後の疼痛を少なくするために硬膜外麻酔という方法を併用することがあります。全身麻酔から覚めても手術部の痛みが少なく、次の日から車椅子に乗って移動することも可能です。
 手術では、延長する骨に皮膚の上からワイヤーやピンを何本も打ち込んで創外固定器の装着を行ってから、延長部位で骨切りをします。手術終了時には骨の長 さには変化はありません。術後5~7日目から骨を延ばす操作を開始します。各種創外固定器には骨を延ばすための延長器があり、多くの場合は患者自身で延長 操作を行います。手術時の年齢、部位などによって違いますが、大体1日あたり0.5~1.0mmを2~4回に分けて延ばしていきます。定期的にX線検査を 行い、仮骨の出来に応じて延長の速度を調整することが重要です。延長操作そのもので痛みを感じることはほとんどありません。術後早期には動いたときにワイ ヤー、ピン刺入部での疼痛がありますが、だんだん慣れてきて痛みはなくなります。下肢の骨延長の場合、早く仮骨を成熟させるために術後早期よりリハビリを 行い、しっかり体重をかけて歩く練習を行います。杖を使用する必要がありますが、術後2~3か月ほどで退院し、学校に通えるようにもなります。
 元の骨の長さにもよりますが、1回の治療で5~10cmほど延長を行います。1日1mmで延長していくと10cm延長するのに3か月ほどで終了します が、延長した仮骨が十分成熟してから創外固定器を外すため、総治療期間は大体延長期間の2~3倍の日数が必要となります。延長量が大きくなってくると筋肉 も引き延ばされてくるため、延長している骨の近くの関節が硬くなってきて痛みを伴うようになります。延長終了時期はこの痛みの程度や関節の硬さによって決 まる場合がほとんどです。
 この方法は治療期間が大変長く、この間は創外固定器からのワイヤー、ピンがずっと皮膚を貫いているため、そこから細菌感染を生じることが問題となりま す。以前は治療中の入浴などを制限することが多かったのですが、最近は創外固定のまま積極的にシャワー浴を行い、清潔を保つことで感染を予防するという考 えが主流です(図3)。感染が生じて刺入部から膿が出て痛みを感じたり発熱がみられるようになっても、早期に抗生剤を内服すれば大事に至ることはまれで す。
 


北野 元裕 / 国立病院機構大阪医療センター 整形外科
(清野 佳紀監修 : 改訂版骨の病気と付き合うには,メディカルレビュー社 : 69・71,2010)


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