軟骨異栄養症の治療


⑤外科的治療:背骨(脊柱)

軟骨異栄養症における背骨の症状


 軟骨異栄養症の背骨(脊柱)に関する問題として、3つの大きな問題があります。
 まず1番目が、脊柱管狭窄症(図1)です。軟骨異栄養症では、脊髄が通っている脊柱管という背骨のなかにある空洞が 先天性に狭く、これに加齢による変化や後述する脊柱の変形が合併すると脊柱管狭窄症という状態になります。これは歩いたり立ったりしていると足がしびれた り、足の力がなくなってきたり、ひどい場合には失禁、失便したりするものです。2番目が頭蓋骨のすぐ下にある第一頸椎(環椎)と第二頸椎(軸椎)に不安定 性が生じる環軸椎不安定症です。これは手足がしびれたり、手足の動きが悪くなったり、重篤な場合には息が止まって命に関わることになります。最後は脊柱の曲がり(脊柱変形;側弯、後弯など)(図2)です。本疾患の場合、胸椎と腰椎の間が曲がって後ろに飛び出してくることが多いです。後弯症といいますが、これは脊柱管狭窄症を助長しますし、それ自体で痛みの原因になります。
 いずれの問題も手術治療でしか解決できません。脊柱管狭窄症は症状が出現するまでは治療の必要はありませんが、環軸椎不安定症や背骨の曲がり(後弯症) は、痛みや神経症状が出現してからでは、たとえ手術しても症状が良くならない可能性もあるため、予防的な手術が推奨されています。
 ただ、軟骨異栄養症は四肢が短いため、脊柱の曲がりを矯正しすぎるとお尻に手が届かなくなり、排便後の処置に支障を生じることがあります。また成長ホルモン投与で背骨の曲がりが増悪することもあります。
したがって、脊柱の曲がりを治療する際には、小児科医、四肢担当の整形外科医、脊柱担当の整形外科医同士が十分にコミュニケーションを取る必要があります。
 


宇野 耕吉 / 国立病院機構神戸医療センター整形外科 部長
(清野 佳紀監修 : 改訂版骨の病気と付き合うには,メディカルレビュー社 : 74-76,2010)


JP/NT/0317/0052