骨形成不全の治療


今後解決すべき問題点

長期的な副作用


 骨芽細胞と破骨細胞によって常に一定の割合の骨は新しくなっています。ビスフォスフォネート製剤はこの骨の更新を著しく抑えるわけですから、古い 骨が溜まっていくことになります。骨には細かい骨折が起きていることが知られていて、古い骨にはこのような細かい骨折が蓄積していることが予想されます*。この結果、金属疲労と同じように、骨の強度はむしろ低下することも考えられます。ごく最近、骨形成不全症以外の骨の病気に長期間大量にこの薬剤の投与を十分な観察なしに行っていて、大理石骨病という病気になって骨折がむしろ増えたということが報告されています**ので、注意が必要です。
 また、骨折の治癒にも破骨細胞は重要な働きをしているので、この機能の低下は骨折治癒を遅延させる恐れがあります。実際に骨形成不全症で骨折治癒過程を観察した報告では、骨折線の消失にはビスフォスフォネート製剤を使わない場合よりも時間がかかることが示されています。
 成長に関しては悪影響を与えませんが、成長を良くする効果もないということが分かっています。骨がその形を保ちながら大きくなるのは骨が更新されている ことによりますから、この更新が止まった状態が長く続くと骨の形の異常が起きてくる恐れもあります。なお、Ⅰ型やⅢ型、Ⅳ型の一部では成長ホルモンによっ て成長が良くなることがありますが、成長ホルモンによって骨折の回数が増加することもあるので、成長ホルモン製剤を使う際にはビスフォスフォネート製剤で 骨折の発症が管理されていることが必要です。
 ビスフォスフォネート製剤は胎盤を通過します。したがって、妊婦に投与すると胎児に奇形を発生する危険があります。また、女児に投与するとそれが骨に 残って妊娠中に溶け出して、胎児に悪影響を与える心配もあります。しかし実際には、妊娠が判明してから投与を中止して健康な子どもが生まれたという報告が いくつかあります。つまり、長期間の投与によって骨に沈着したビスフォスフォネート製剤が再び溶け出して胎児の異常を引き起こす危険は少ないということで す。
 

* Mashiba T, Hirano T, Turner CH, et al.: Suppressed bone turnover by bisphosphonates increases microdamage accumulation and reduces some biomechanical properties in dog rib. J Bone Miner Res 15: 613-620, 2000

** Whyte MP, Wenkert D, Clements KL, et al.: Bisphosphonate-induced osteopetrosis. N Engl J Med 349: 457-463, 2003
 

田中 弘之 / 岡山済生会総合病院小児科 診察部長
(清野 佳紀監修 : 改訂版骨の病気と付き合うには,メディカルレビュー社 : 198-199,2010)

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JP/NT/0317/0052